2005年10・11月に読んだ本
10、11月は何だか全然読書モードじゃなかった。なんと2ヶ月でたったの4冊。
しかも一冊は殆ど絵本。
私は結構こういう波があって、読むときは1日1冊ペースで読むこともある。
が、時によっては何週間も本を開かないことも・・・
なぜそうなのかは自分でも不明。
パレード 川上弘美 | 6.3カラット |
「センセイの鞄」のセンセイとツキコさんの、番外編といった感じの物語。ある夏の日の二人のワンシーンである。 センセイに言われて、ツキコは幼い日の思い出を話し出す。 突拍子もないのに、不思議と安心感のある子供のときの物語と、現在の二人の情景が描かれている。 挿絵(版画?)がほっこりしたイメージの短い物語だ。 「センセイの鞄」のラストを知っているだけに、いちいち二人の会話や行動が切ない。是非、先に「センセイの鞄」を読んでからお読みください。 |
ダメ犬グー 11年+108日の物語 ごとうやすゆき | 6.6カラット |
もう、表紙を見ただけで、「私達が読んだら泣く本」とわかってしまう一冊です。 かわいいかわいい「ダメ犬」のグーの幼い時からそして逝ってしまうまでを、やさしいイラストと愛にあふれた短い文章でつづっています。グーの変なところ、かわいいところ、困ったところ、全部全部がいとおしくてたまらないというのが、痛いほどわかる絵と文です。 ページをめくって、初めは「あはは、グーかわいい」って笑って読めるんですが、途中で「あ、この後を読んだらダメだ」と立ち読み中に本屋で本を閉じました。今回最後まで読んで、やっぱり泣きました。 でも、泣けるんだけど、最後まで愛されて死んでいったグーの物語は、決して悲しいだけじゃなくて、心がほんわか暖かくなるのです。最近私が手にするのが、保健所で殺されていく犬たちの本が多かったりするので、あの、どうしようもないやるせなさ、自分が人間であることが悲しくなる気持ち、そんなのと違う、「グー、幸せだったね?」って思える、そんな涙です。 ちなみに、グーはドーベルマンです。少しだけ写真も載っていました。 世の中のワンコたちが皆グーみたいに、愛されて旅立てるなら、私達が流す涙は、暖かいのに。 |
容疑者Xの献身 東野圭吾 | 7.2カラット |
96年1月の直木賞受賞作。 東野圭吾の最高傑作かといわれると、そうではない。が、勿論かなりの力作で、読み応えばっちり。 ミステリーとしては「それはありえるか?」という感じの驚きのトリックだけど、主人公、石神の胸を締め付けられるような想いに、心を動かされる。初めは、暗く、お宅っぽい数学教師石神が、勝手に隣の親子に想いをよせ、しかも弱みをつかんだ?と思ったのだが、石神が二人を思うあまりに作り上げたトリックは、尋常では想像が付かないものだった。注意深く読んでいれば気付く矛盾に気付かなかったので、トリックにも驚いたけど、エンディングのせつなさ、主人公の悲しい気持ちに胸が締め付けられる。 さすが、東野圭吾。 |
悪党たちは千里を走る 貫井徳郎 | 6.6カラット |
貫井徳郎といえば、「慟哭」「殺人症候群」と実にヘビーな内容の作家というイメージだった。 それがびっくり「へぇ、こういうのも書くんだ!」という感じ。 一気に読めるユーモアサスペンス。(って表現が古いか?)でも、結構ほろりとさせるところもあり、特にラストのところなど心をくすぐられる。 3流詐欺師の高杉、園部と美女詐欺師菜摘子の3人の「悪党たち」はお金持ちの家からワンコを誘拐して身代金を要求する計画を立てるのだが、身代金は1500万。ええ、払いますとも。家を売ってでも。いいところに目をつけたね。貫井徳郎。私も前から思っていました。子供を誘拐するとすっごい重罪だけど、犬は日本の法律では「モノ」扱い。多分たいした罪にならない。犯人の顔見ても、証言できないし。ホンモノの悪党がこの犯罪に気付かないことを祈るよ。 が、物語のほうは実際には誘拐はしないので、読んでいて嫌な気持ちにはなりません。ご安心を。 |
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